焼き鳥の「串からはじまる物語」 ②
焼き鳥の「串から始まる物語」 ①の記事から是非お読みください。
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焼き鳥の「串から始まる物語」 ~失う日~
おやじを見た僕もギョッと一瞬固まった。それがあまりにも鬼気迫るものだったからだ。
おやじは暫く黙っていたが、絞り出すような声で、地面を見たまま占いの結果を告げた。
「異常な…。異常に大きい運命の波が、あなたを呑み込んでいる。」
おやじはそれだけ僕に告げると、そそくさと屋台を仕舞いはじめた。
おやじの顔は相変わらず白く、顔には汗が伝わっていた。
占いの滑稽さと、おやじの鬼気迫る様子のギャップに、
その頃には面白しいとの感情さえ覚え、僕は正気取り戻していた。
「そうですか。ありがとうございました。」
僕は強制的に見せられた串投げパフォーマンスに、何故かお礼を言ってその場を後にした。
おやじは何も言わず、僕を見ないように相変わらず屋台を片付けていた。
自分で呼びつけておきながら、最後は僕になるべく関わらないようにしているようなので、いい気持ちはしなかった。
僕は無事にスーパーで果物といくつか食料を買い、買い物を済ませレシートを受け取った。
帰り道、そっと焼き鳥の屋台を確認したが、すでに引き上げたあとだった。ほっとした僕は食料の入ったビニール袋を片手に家に戻った。
家に戻ると、ポケットの中に入れているはずの鍵がないことに気がついた。
どこかで落としたかと思い、重いビニール袋をドアノブに掛けて、来た道を鍵を探しながら戻った。
普段と違い財布の中に鍵を入れていたことをすぐに思い出し、家に戻った。
家に戻ると、空のビニール袋が風に虚しくそよぎ、ドアノブにかかっていた。僕の買ってきた果物や食料はなくなっていた。
盗まれた…。
僕はもう一度スーパーに行く、気力も体力もなく、家で一度休むことにした。
さっきのおやじか?僕はすぐに焼き鳥屋のおやじを疑った。
この世の中、なかなか外に置いてある食料を盗む人もいないが、あのおやじなら僕のあとをつけて盗んでも不思議じゃなかった。
たいした金額じゃないし、警察に電話するまででもないか…。
そんなことを考えながら、ふと値段を確認しようとレシートを見た。
買った食べ物と値段が並んでいたが、最後にこう書かれていた。
「失う日」 所持する食料を失う
なんだこれ?
お腹が空いたので、仕方なくカップラーメンを食べようとキッチンの引き戸を開けると、カップラーメンが見当たらない。
家を出る前は確実にあったはずだ。
冷蔵庫を空けてみると、使いかけの調味料がきれいさっぱりなくなり、ビンだけが残されていた。
僕はおやじの占い通り、この日から、とてつもなく、とてつもなく大きく、異様な運命の波に呑み込まれていくこととなる。
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焼き鳥の「串から始まる物語」 ③
焼き鳥の「串から始まる物語」 ~得る日~
に続く。
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通勤・通学・暇つぶしに 焼き鳥の「串から始まる物語」①
その日は熱があり、ひどく体調が悪かった。
朝には宅配便に使った印鑑を、そのまま洗濯機に投げ込んだ。
すぐに気がついて取り出したが、インク内蔵式だったので、そのまま洗っていたらどうなっていたか想像すると恐ろしい。
1人暮らしをしていると、体調が悪くなった時がみじめだ。
普段はそれほど1人でいることを意識することはないのだが、体調不良で寝込んでしまうとたまらなく人が恋しい。
冷たい枕に変えてくれたり、温かいおかゆを作ってくれる人がいれば…とクリスマスイブの夜ぐらい寂しい気持ちになる。
お腹が空いた…。
食欲はあるようだった。冷蔵庫には使い残しの調味料しかなかった。キッチンの引き戸を開けて探してみたが、ストックしてあったカップラーメンしかなく、食べる気にもならなかったので、近くの小さなスーパーまで買出しに行くことにした。
みずみずしい果物がとにかく食べたかった。
ジャージに着替え買出しに向かった。スーパーまでは徒歩で約3分。
朦朧としながら歩を進めていくと、普段見慣れない焼き鳥の屋台があった。
場違いに小さな公園の前を占領し、入り口を見事に塞いでいた。
子供がかわいそうだ。この公園で誰も遊んでるのを見たことはないが。
そのまま通り過ぎようとすると、やきとり屋のおじさんが声をかけてきた。
「おい!そこのあんた!」
無視だ…。やきとりを食べる気分ではない。僕はみずみずしい果物が食べたいんだ。
聞こえないふりをしてそのまま足早に通りすぎようとすると、
「そこのあんた!ひどい顔してるねー。とんでもない悪いことが起きるよ!」
…。この体調の悪い僕に向かって、なんだというのだ。
体調が悪いのだから確かにひどい顔をしているのかもしれないが。
ひどい顔ってのはだいたい侮辱じゃないか?言い返すきっかけを探ろうと思い、
「なんですか?何が悪いことなんですか?」と、鋭い目つきで振り返った。
おやじは僕の視線にたじろぐ様子もなく
「いやねっ。おれはー こう見えて占いやっててさ。ちょっと占ってやるよ」
宗教の勧誘かな…。そういことならとすぐに矛を収め
「すみません。失礼しました。」とすぐに立ち去ろうとした。
「待て待て」と、強引に腕を掴まれ「すぐだから」
おやじはそう言うと、無造作に焼き鳥の串を掴み、竹とんぼのように両手で数秒こねて念を入れると、エエイッと、これまた場違いな大声と共に空高く投げ上げた。
空高く舞い上がった焼き鳥の串は、アスファルトの地面にそれぞれそのままポトリと落ちた。
なんて不衛生な店だ…。そもそも公園の入り口を塞いでいる時点でおかしい奴だ。完全に関わらない方がいい。
地面にばら撒かれた串から、ふとオヤジに目を移した。
オヤジは串を見つめ生気の抜けた、血の気の引いた白い顔をし、硬直し震えていた。
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通勤・通学・暇つぶしに 小説・物語<空想小説実験室>
空想小説実験室
人間ってほぼ全てが「悪」なんじゃないか?
僕は急にふとそんなことを考えた。
有名な芸能人やスポーツ選手は贅沢な生活をして、何故食べられない貧しい子供達のためにそのお金のほとんどを使ってあげないんだろう?
いや、お金持ちでなくても、ほとんどの人は最低限の生活に切り詰めて、貧しい世界の人々へ寄付をしていない。
電車でお年寄りに席を譲っても、捨てられた子犬を拾ってあげても、
僕達は人の命を見殺しにしているんじゃないか?
自分の救える命を救っていないんじゃないだろうか?
皆見ないふり、気がつかないふりをして平気なんだ。
人間がやっぱり「悪」だからかな?
僕の人生振り返って、誰もそのことについて、本当のことを話してくれた人はいない。
僕は人間は「悪」なのか実験をしてみることにした。
これから僕のしたい実験は人権的に実現できないし、時間も費用面でも実現は不可能だ。
だから、この小説を使って実験をしてみようと思う。
「空想小説実験室」を開設する。
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通学・通勤・暇つぶしに 小説・物語<白い部屋>
この小説の主人公は「あなた」。
あなたには必ず「命」の決断をしていただきます。
あなたは、白い部屋にいる。目の前には見知らぬ三人。固定された銃が三丁。
後ろにはあなたに向けて銃を構えた男。
あなたは命の選別人だ。目の前三人の内、二つの生かす命を決め、一つの殺す命を決める。
被選別人には三十秒の自分が生き残るにふさわしいとする、主張の時間が与えられている…。
一人目の男の主張が始まった。
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